

- 2022年3月17日
善き経営者の時代
*Photo; Almani Silos, Milan 駆け出しの頃にご一緒した、日本グラフィックデザイン界の巨匠の「私の仕事の半分はクライアントのため。そして、残りの半分は日本の生活者のエデュケーション(教育)だと思っている」という言葉は、今もボクのなかにずっしりと残っています。 やもすれば誤解を招く物言いなのかもしれませんが、考えてみれば、クレヨンで画用紙にデタラメな線を描きなぐっていた子供たちがピカソを観て「絵画って、こんなことができるんだ!」と視界が広がる。あるいはビートルズを聴いて「音楽って、こんな気持ちにさせてくれるんだ!」と背筋が痺れる思いをして、もっと色々な音楽に触れてみたい、自分も作ってみたい!と考え、行動する。そんな気づきと衝動によって芸術って進化していきます。 生活も一緒だ、と巨匠は言いました。「これでもいいんだ」というデザインばかりに囲まれて生きているよりも、デザインひとつでこんなにも毎日を豊かに感じることができるんだ、という“気づき”を与えていくのも、私たちクリエイターの仕事なんだよ、と教えてくれたのです。 現状追認だけ