

- 2022年5月22日
Brand は誰のものか
*Photo; Rome, Italy ブランディングの実践者や、ブランドの研究者の間でも「ブランドとは誰のものか」という課題は、度々論じられてきているテーマでもあります。 「ブランド」という概念が生まれる原始の時代。たとえば、エルメスやルイヴィトン、あるいはフェラーリなどだけが狭義のブランドと認識されていた時代においては、言うまでもなく、「ブランドはオーナーのもの」でした。つまり経営者、あるいは経営者一族、ですね。 ビジネスの成長のための「ブランド」というコンテキストが広がるにつれ、「ブランドとは顧客のものである」という考えが広がりました。特に日本において、そうした傾向は強かったようです。「お客さまは神様です」が好きな国民性が強く影響していたのだと思います。 その後、日本型の経営システムからアメリカ型へ、という流れの中で日本でも、アメリカ発の「ブランドオーナーとは株主である」という考えが広がりました。株価を経営指標の中心に据えた経営計画ゆえに、効率優先の業務仕分けが行われ、短期的に利益を生む施策に重きをおいた判断がなされるようになりました。 以


- 2022年5月15日
Branding とは、一円でも高く喜んで払っていただくための企業努力です
Photo, Rome, Italy 前回、ブランディングとマーケティングの違いについて書きました。
ブランディングについて、もう少し僕の考えを書きましょう。 2007年から数年をかけてヨーロッパ、北米のブランディングの専門家が集り、いわば「世界ブランド会議」のようなものが開かれました。ブランドの価値をデューデリジェンス(企業の価値評価)に反映するための試みで、ボクは当時の担当省庁に呼ばれ、日本の代表として定期的にヨーロッパ各国で開かれるその会議に出席をしていました。 数年を費やして議論を重ねたのですが、ブランドとは何か、という明確な定義を合意することはできませんでした。会議そのものは本当に楽しくて、実りのあるものでしたし、ボクの今の仕事の糧にもなっています。国によって考え方や価値観が違うところ、あるいは共通する部分など、各国のトップレベルの実務家と議論を戦わせることはとても勉強になりましたし、刺激的でした。 ちなみにその会議での経験を経て現在、ボクはボクなりに「ブランド」の定義を、明確に自分の中に持つことが出来ています。ふふふ。 さて、「ブラン


- 2022年5月1日
良い一日でありますように。
*Photo; Hawaii 少し前から(多分コロナが始まってしばらくしてから、だと思います)、メールの最後に「今日もいい一日になりますように」と書くようにしています。 アメリカに住んでいる時、ちょっと驚いたのが挨拶や声かけを頻繁にされることでした。ショップや地下鉄の中でも、近くを通り過ぎる人がExcuse me. と声をかける。ちょっと馴染みになった店員はHi! とにこやかに笑顔を向けてくれる。そして、別れ際にはHave a nice day! パリでも(フランス語はまだまだ、とほほレベルですが)同じような経験をしました。 そんな一言をもらっただけでも、今日はいい一日になるかな、なんて気分になれたことを思い出したんです。 東京では(そして多分アメリカの大都市でも)、そんな見ず知らずの人と交わす挨拶はだいぶ減ってきているようです。それどころか、道を譲っても、まるでこちらの存在が見えていないかのように目も合わせずに通りすぎる人も多く、その背中をふう、という感じで眺めたりすることも少なくありません。そんなことないですか? まあ、いずれにしろ。 触れ合