

*Photo; Aoyama, Tokyo
“ブランド”となるのは、商品やサービスだったり会社そのものだったりするわけですが、その背景にあるのは結局「ひと」です。言われてみればあたりまえ、ですが忘れられやすい事実です。
ブランディングのプロジェクトでは、さまざまな局面でインタビューをすることになります。社長をはじめとしたトップマネジメントの方、ミドルマネジメントの方、そして現場の方々。
そうした、ブランドに関わる「ひと」たちの価値観がブランドをかたちづくります。最近のパーパスブームで軽視されてしまいがちですが、ボクはこの「価値観」がブランディングにはとても重要な役割を果たしていると考えています。
ご立派に見えるビジョンやパーパスは見よう見まねで書けますが、しっかりと「価値観」を理解した上にのるビジョンやパーパスは一味も二味も違います。
どうしてもインタビューというと、経歴やなにをしてきたのか、しているのか。あるいは業務を通しての経験やそこから得た知見などの話が中心になりがちです。でも、ボクはそれらよりも、みなさんがどう言った「価値観」を持っているのかを掘り起こすことに注力します。
結局、“これから起こす未来”に対峙した時にどう言った判断や行動を起こすのかは、その方が持っている「価値観」が大きな影響を持つからです。
今年でメッセージとしての6年間の役割を終えますが、野村総研さんのビジョンメッセージとして掲げていたのが Share the Next Values! でした。
これは、「新らしい価値」をシェアしていこう、に止まらず「新しい価値観」を生み出し、分かち合っていくことこそが大切なのだ、と野村総研さんのトップマネジメントの方々が考えていらっしゃることをボクなりに掘り当てて生み出した言葉です。
Value は「価値」。Values と複数形になると「価値観」という意味に膨らむのです。そこに大きく反応して、採用していただきました。
「価値」ではなく「価値観」。そして、6年前、まだ「シェア」という概念や言葉が今ほど取り上げられることのなかったタイミングで、インタビューを通してこの言葉をボクに書かせ、そして採用してくださった野村総研さんの洞察力には、この6年間敬服してきました。
さて、その「価値観」の掘り起こし方ですが、「どんな価値観をお持ちですか?」と聞くのは愚の骨頂です、よね。
敢えてビジネスとは違う例で説明をしてみます。
サッカー選手に、プレイで気をつけていること、尊敬している選手、チームの目標などを聞くのはあくまで入り口。なんだったら、インタビュー前に持っておくべき事前情報です。
ボクだったら、さまざまな会話の合間に、練習が休みの日になにを食べたのか、を聞きます。あるいは、移動中の車の中でどんな音楽を聴くのか。それらから、プレイや目標の背景にあるストーリーを見つけ出します。
「会社のモットーはなんですか?」「お客さま第一です」。こんなブランディングにならないように、心がけています。
今日の写真は、昨年ボクのオフィスで撮った桜です。目を凝らすと、そこここの桜の枝が、ふっくらとピンク色をたたえた蕾をまとっていることに気が付きます。インタビューって、そういう気づきのことなんです。だから、楽しい。だから、深い。
もうすぐ桜が我々の街を彩ってくれますね。素晴らしい季節を!ピース!