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だれのために、なんのために


*Photo; ACE Hotel, NY


ブランディングのためには「我々はだれのために、なんのために存在するのか?」を明確に意識することがとても大切です。ルイヴィトンは「旅をする人々のために、堅牢なトランクにより、その持ち物をしっかりと守るため」生まれました。シャネルは「女性たちを因習から解放するための表現方法、ライフデザインのために」生まれました。スターバックスは「日々を忙しく生きる人々のために、自宅と仕事場以外の場所を提供することにより、その人なりの豊かな人生を育む」ために生まれました。


さて、この命題の設定、簡単なように見えて意外と難しいです。マーケティングでよくやるペルソナの設定に近いように感じるかもしれませんが、「どこにターゲットがいるか」の視点から始めてしまうと、とても平板なものになったり、逆に複雑になったりで混乱をきたします。ブランドを共に作ろうとするチームに説得力をもたせ、まとめるために知恵を絞ることになります。


これからの時代には企業単体の活動ではなく、柔軟性のあるエコシステム(協業)の活用によるブランドの誕生も予想されます。そうなると、自分たちが「だれのために、なんのために存在するのか」を雄弁にかたることが、有能で価値のある仲間を惹きつけるための大きな武器になります。


こうした視点は、ブランドのみならず、さまざまな事象の課題を整理するためにも役に立ちます。


例えばデジタル。多くの人に便利で豊かな生活をもたらす、と期待されていましたが、現実には使いこなせる人と、たとえば高齢者など、なかなか使いこなせない人との生活品質の格差を拡大していることになっていないでしょうか。携帯電話の安いプランが窓口では契約できない、となると高齢者の方々には大きなハードルですし、大いなる矛盾のように感じます。


個人的には、オリンピックも今や「だれのために、なんのために」実施しなくてはいけないのか、理解が進みません。これだけ多くの人が生活の維持に苦しんでいるときに、そうした個人がコツコツと払い続けてきた税金を巨額に投入してやるのは、「コロナに打ち勝ったことを宣言するため」に本当に有効かつ必要なんでしょうか?説得力を感じません。ふう。


ちょっとネガティブな物言いになってしまいましたが・・・ごめんなさい。

でも「だれのために、なんのために」をしっかりとチームで議論ができて、明確になればポジティブなサイクルが回り始めますよ。ぜひ、まずはひとりミーティングでもいいので始めてみてください。


写真はニューヨークのエースホテルのトイレの入り口です。

『すべての人のためのレストルーム(トイレ)。ここは、性別やあらゆる特徴にかかわらず、すべての人類が使ってもらって結構です」と書いてあります。

当たり前のことですが、スカッとしてかっこいい!と強く感じてしまうのは、時代のせいかもしれません、ね。


Stay Safe & Be Positive ! で参りましょう。


© Copyright 2010 d.d.d. inc. & Akihiko Ishizawa
© Copyright 2010 d.d.d. inc. & Akihiko Shaw Ishizawa
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