
*Photo, Somewhere in HAWAII
友人であり、とても優秀なPRストラテジストである本田哲也さんが『パーセプション:市場をつくる新発想』という本を上梓しました。とても興味深く、面白い視点が満載ですので、ご興味のある方は是非一読ください。
「パーセプション」という言葉はご存知ですか?「認知」とか「感知」と訳されますが、要は「どう思っているか(あるいは思われているか)」ということですね。
かつて勤めていた広告代理店が提携していたアメリカの広告代理店へ研修に出かけた時、『Consumer’s Perception is Reality』と教えられて、いろいろなことが附落ちしたのがボクの広告パーソンとしての本当のスタートでした。
要は「生活者がどう思っているか、が大切なんだよ、馬鹿者が!」という感じですね。まあ「馬鹿者が!」は、ボクの付け足しですが、当時、どうかっこいいCMを作ろうか、とばかり考えていたボクにとっては、ホント、ガツンと一撃食らったような新鮮な開眼のワンフレーズになりました。
広告コミュニケーションとは、「言いたいことをかっちょよく言う」ではなく「生活者の認識を変える」。もっと言えば「“認識”を連れていきたいところに連れて行く」ことが我々に課された仕事なんだ、ということです。そこから俄然仕事が面白くなりました。
クライアントが言いたいことを、とにかく目立つように、かっこよく、あるいは面白く、ターゲットに好きになってもらうためにぶっ放す!という仕事から、心理学のような緻密な仕事に位相が変わったわけですから。
本の中で本田氏は「パーセプションとブランドとは対の関係にある」と書いています。パーセプションとは、生活者の認識。対してブランドとは、企業がこう思ってもらいたい、という気持ちや行動。
図式としてはまさにそうなりますし、本田氏も、そのパーセプションとブランドの重なり部分(=オーセンティシティ、と定義しています)を作ることが大切だ、と説いています。
ボクなりに細かいことを言えば、その「オーセンティシティ」を作る作業こそがブランディング、なのです。
いずれにしても、「言いたいことを言う」ではなく「今、自分達がどう見られていて、生活者はどういったものの見方をするのか」を客観的、かつ深く考察した上で「こうしたメッセージングや活動が有効となる」というロジックを積み上げて行く、ということです。
市場に吹く可変数の風を読んで着地点を見出し、ドライブするのがブランディングの仕事の楽しさでもあり、ボクたちの技と言えます。
調査だけではわからない部分を掘り込んでいく作業もまた楽しい。
今日の写真は、10年以上前に撮影で赴いたハワイでのカットです。まさに風を読む、という写真ですね。
写真界の大巨匠であり、とても素晴らしいパーソナリティの持ち主である藤井保さんとご一緒しました。藤井さんのお邪魔にならないように、後ろからちょこちょこと写真を撮ってました。これもボクの原点です。楽しかったなああ。また行きたいです!
さあ、今年もStay Safe & Be Positive!で潤いのある毎日を。ピース!