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パーパス経営と人的資本経営


*Photo; New York


最近の流行り、と言ったら少々語弊がありますが、注目されている経営の視点に「パーパス経営」と「人的資本経営」があります。


このふたつの視点(手法や方針ではなく、敢えて視点、と呼びます)は、別々のようで実は根底で繋がっていますし、その共通する視座を認識することによって大きく価値を増幅することができます。

なぜこの二つの経営視点が今出現し、注目されているのか、を今日は紐解いてみますね。


「パーパス」自体はもうご存知ですよね。存在価値、と訳される場合が多いですが、ちょっとこの訳が、誤解を招いている気もします。ヴィジョンやミッションとの混同というか、なんかこんがらがっちゃってません?ということも多いようです。


この「パーパス」。このコンセプトが生まれた背景を理解すると、意味が掴みやすいかもしれません。

端的にいうと、近年の社会全体の動きに対する危機感から、社会のありようや、より良い社会をどう作っていくべきか、という課題に対する、生活者(特にミレニアル世代)の関心が高まっています。

その延長として、これからの社会を良くする、そのパートナーとなるべき企業はどこなのか、と言う視点が生まれていることが背景になります。

こうした視点や価値観はモノを買う(選ぶ)時にもそうですし、就職先の選定にも大きく影響を及ぼします。

つまり、企業からすると「顧客に選ばれるため」「優秀な人材に来てもらう」ために「よりよい社会をつくるためにどんな貢献ができるのか」を明確にし、標榜することが有用になるわけです。


さて、「パーパス経営」。単に、こんなことやっていきます!という宣言だけでは、もう誰も信用してくれません、よね。あるいは、社会のために、といってもかつてのメセナや企業ボランディアのようなことでは、継続性が生まれません。

実際、さまざまなメセナや協賛活動も、企業業績によって打ち切りが行われることが繰り返されてきました。

そこで「パーパス経営」の肝となるのは、「より良い社会の創造に役立つ事業=自社の強みを活かした収益源を生み出し、育てること」、なんです。それは、新規事業かもしれませんし、もしかすると、既存の事業をパーパス視点で見直すと、より有効に活かすことができたり、あるいはバージョンアップできることもあるかもしれません。

そうすることによって、社員のモチベーション向上にもつながる、というのが「パーパス経営」のもう一つの果実であり、「人的資本経営」への架け橋になる部分です。


「人的資本経営」とは、長らく続いた競争経済の中で:

・経済が世界的に停滞している

・商品やサービスの差別化が困難

・調達経路の工夫などによる、価格優位性の確保も限界に近い

という状況が、続いています。


そこで、いわゆる物理的な「資源」だけではなく、「人材こそが、企業の成長にとって有意かつ有効な資源なのだ」という“気付き”から生まれた考え方です。


一人ひとりが、個々のポテンシャルを最大限に発揮できる。あるいは、シナジーを産むような環境(例えば;人材配置の工夫やオフィス環境の整備、社外人材とのコラボレーション支援など)を用意することによって、それらのポテンシャルがさらに拡張されることをサポートすることで業績の向上につなげる。

さらには、優秀な人材の獲得、リテンションをしていき、さらなる「人的資本価値」が増幅する、というサイクルを回すことです。

*ちょっと前までの、「日本はソフトが弱い!いいコンテンツを開発しろ!」と目くじら立てて社員のお尻を叩いても結局あきませんでした、という経験もこの背景にあるわけですので、その繰り返しにならないよう、マネジメントサイドは真剣にやり方を考えるべきです

*わかりやすい例で言えば、この考え方の導入が最も必要なのが、日本の政府と言えますね。


「パーパス経営」と「人的資本経営」。この二つをうまく実践することにより、ビジネスの伸長、さらにはしっかりとしたブランド構築のための足腰が出来上がります。

実現のためには、自らの強み、価値、志を、独りよがりではない、きちんとコミュニケーションでき、機能する言葉によって明文化することが大切です。ぜひ、ご相談ください。


今日の写真もニューヨークです。前回からのバスケのつながり。

ここにあるナイキのマーク、かっこいいですよね。ブランドってこう言うことなんだと思います。意志とスタイルがここにはあります。

マス広告や、有名アスリートのスポンサードだけではなく、ストリートプレイヤーのサポートをしっかりと、しかもかっちょよくやっています。

「スポーツの力で、世界を前に進める。(中略)スポーツをする場を全ての人に提供する」が、ナイキのパーパスです。まさに、これが実践の図。



こうしたスポーツ関連ブランドが日本にも生まれてくれれば、もっと日本のスポーツの裾野も広がっていくし、スポーツの持つ意味や価値が人々の生活にも潤いと活気をもたらしてくれるのに、と切実に思います。

「スポーツの力を信じる」だとか「感動を与えたいのでオリンピックやらせてください」では、人は感動しませんから。逆だよ、逆。言っているだけではなく、スポーツをみんなにやってもらってこそ、本当の意味や感動を共有できるんだよー!

なによりも、子どもやストリートアスリートのための、壁打ちできる壁や、こうしたネットを作ってくれよ〜。今や、日本の子どもたちは、どこかのスポーツクラブ(もちろん有料)に入らないと、スポーツする入り口にすら立てません。これじゃ、スポーツ大国になんてなれません。


あ、少々アツくなってしまいましたが、Stay Safe & Be Positive! で、アツいブランドを日本中につくってまいりましょう!ピース!


© Copyright 2010 d.d.d. inc. & Akihiko Shaw Ishizawa
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