
*Photo; New York
Village Vanguard 再訪の興奮も落ち着きつつある中、ブランディングに関してニューヨークで改めて感じたことを少々書きます。
3年ぶりのNY訪問では、やれやれ、円安による体感物価の高さがビシビシと響いたわけですが、そのせいか、あらためてチップというシステムの持つ意味合いについて考えるきっかけになりました。
ご存知チップ。サービスを提供してくれる相手に対して、いわゆる正価に幾許かのプラスのお金を支払う仕組みです。
日本人にとっては馴染みのないスタイルであるがゆえに正直、え、なんでプラスで払わなあかんの?一体いくら払ったらええの?煩わしいわあ、と感じる人も多いのではないでしょうか。
支払いの金額についても、ホテルのポーター、タクシー、飲食店など場所やシーンによって比率が違いますし、例えば飲食でも、カフェ・ダイナーのようなところとレストラン、あるいはバーなどで微妙に違ってくるからさらにややこしい、というのが実際です。
とはいえ、タクシーにしても飲食店にしても、一般的には価格に対して18〜20%以上というのが近年の常識的なラインで、レシートにもあらかじめ18%ならいくら、20%ならいくら、というように「ご提案チップ価格」が記されているところも多くなりました。
さて、実際に払うとなると、18%か20%か、いや、よくしてもらったからもう少し余計に支払ってあげたいな。あるいは、もちろんその逆もあり、な悶々ハラハラどきどき、瞬間判断の繰り返しです。
なにしろ目の前の人のサービスに「満足しました」あるいは「満足できなかったよ」と金額という極めてデジタルでクールな判断を示す行為な訳です。これを毎日、毎時、繰り返す。慣れないと結構タフです。
「お客さま第一」なんて掲げる会社さんだと、「お客さまにそんな精神的な負担をかけたくない」なんて議論も出そうですよね。もちろん、その煩わしさのようなものはこのスタイルのマイナスポイントになるかもしれません。
でも、実はこうした環境にさらされることがサービスの本質を考える上でとても大切な訓練になっているのではないか、なんて思うわけです。
日々、自分のサービスを評価される側に立ってみれば、タフですが当然鍛えられます。さらに俯瞰で捉えると、チップを払う側にとっても、自分自身の仕事に置き換えてサービスの品質、喜んでもらえるサービスとは何か、について常に考えることになります。
ニューヨークにしてもパリにしても、愛想もサービスの品質もちょっとなあ、と感じる店員さんっています。一方で、とてもプロフェッショナルだと感じるサービスパーソンも多くいます、よね。
愛想が悪いのに、実は細かいところに気がついてくれていたり、なんて、複雑系(?)のこれぞ個性!というサービスパーソンもいたりするから、奥が深いし、またそのお店に通いたくなったり。サービス業って豊かだなあ、なんて感じて、お店からの帰り道でほかほか笑顔になったりします。
サービスって「均一」である必要はないし、人間が提供する以上、均質であることのほうが不自然なんだ、なんて思い至ったり。
チップという「不便」なシステムが、サービスする側、される側の「人間力」を鍛えるんだなあ、なんてあらためて感じました。
サービス目標が「便利が一番」だったり「安さで貢献」みたいな一軸になったりすると、こうしたサービスの駆け引きというか、奥深さが損なわれてしまうことがあります。それでは、人間の職場はどんどんAI に取って代わられてしまいます、よね。
「便利」って、ほんと恐ろしい一面がありますから。日本における「便利」の最大の発明は「源泉徴収」です。わはは。ほんと。知らずのうちにどれだけ税金取られているのか、みなさん一度しっかりと見てみた方がいいですよ。と少々脱線しましたが。
今回のNew York訪問では、長く付き合いのあるデザイン会社との打ち合わせのほか、ボク自身の写真撮影をしてきました。今まであまり積極的にはやらなかったStreet Snappingもやってきました。とても楽しかったです。
トップの写真は、ニューヨークの紳士たち。ボクの中の温故知新を感じるNew Yorkの街角の風景が撮れました。
そして、こちらの写真は今日のテーマに関連して、自分の価値観でサービスを提供し、それを受け取る、こちらもプロフェッショナル。

まだまだ、Stay Safe & Be Positive! に、素晴らしい季節を!ピース!