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Village Vanguard 再び



*Photo; Village Vanguard, New York


New York ヴィレッジ・ヴァンガードに行ってきました!

前回伺ったのが、結果的にはコロナの直前になった訳で、それ以来の再訪となりました。


ご存知の方も多いと思いますが、ニューヨークでもコロナ禍で多くのライブハウスが閉店を余儀なくされ、ジャズを含む多くのミュージシャンたちは演奏の場を失う苦境を味わいました。

ニューヨーク市は補助金のみならず、コロナが収まりかけたタイミングで道路や公園、あるいは民家の軒先!などに演奏許可を出して、ミュージシャンの活動を支援してきました。


その後、コロナの収束にあわせてライブハウスが続々と営業再開をしていく中でこのヴィレッジ・ヴァンガードの扉は永らく閉じられたままでした。

理由は、その長い歴史。空調などの設備がいかんせん古いもので、地下にあることもあってかなり大規模な改修をしなくてはならなかったようなのです。


しかし、お父さまからこのお店を引き継いだ三代目オーナーのゴードン女史は、このハウスの壁や床に染み込んだジャズの音色を損なうような改装はしたくない、と壁や天井などはそのままに、空調だけを整備するという、手間と時間がかかる方法を選んだそうです。

壁には多くのジャズミュージシャンの写真が掲げられているのですが、工事前に写真の位置を撮影し、また同じ位置に完璧に収めたそうで、壁を張り替えたなんて、言われても全然分かりませんでした。


今日の出演は座付きバンドでもある、ヴァンガード・ジャズ・オーケストラで、もちろん演奏も素晴らしかったですが、音が!

ヴィレッジ・ヴァンガードの独自の音色、って言うのがあるんです。ここでしか出ない音。何度となく聴いたビル・エバンスや、その他ここで録ったジャズ・ライブの名盤といわれるものとすっかり同じ音色に包まれる感動、というか不思議を味わえるのがここへ来る魅力の一つなのですが、今宵もまーったく今までと音色の違いはなかったと思います。


そして、オーケストラのベテラン・プレイヤーたちがまたかっこいい!開演30分くらい前から、それぞれがふら〜っと現れて、それぞれニコニコ話をしたり、楽譜をめくったりレイドバックな雰囲気。全員が揃ったのは開演1分前、ですよ!だって、入場手続きをしているボクの後ろから Excuse me. と声かけて通り過ぎていったおじいさん。まあ、お年寄りだから順番譲ってもいいよね…、なんて後ろ姿を見たら、サックス担いでるじゃん!ステージにヨタヨタ上がっていくじゃん!って感じです。


もちろん中堅どころの年齢のプレーヤーもいるのですが、演奏中に、あれ、マイクの向きが違うよ、なんてお互いをつつき合って直したりとか、ほんと楽しそうにやっているように見えるのですが、演奏は素晴らしい!音色も素晴らしい!

なんていうか…二人羽織見ているような…ちょっと違うか。なんか、ちょっと、気持ちよく騙されている感じというか。分かりますかね?

とにかく、プロってこういう人たちを言うんだな。なんて思い知ります。


楽しすぎて、今回はブランディングとは関係ない話と感じられるかも知れませんが、そうでもない、のです。

実はヴィレッジ・ヴァンガードの改装の顛末を取材した番組がありました。その番組のインタビューで、オーナーが「この歴史ある店を改装とか、新装とか、そんな言葉で表現するようなことはしたくないの。ちょっと掃除したようなものよ」とおっしゃっていました。

かっこいい。

実際には、普通に改装するよりも多くの時間と手間をかけているんです。

これぞブランドを大切にする、ということだなあ、です。

シンプルに言うと、本当に大切なところをしっかりと、がっちり守る。それがブランディングなんです。以上!わはは。


写真は、もちろんヴィレッジ・ヴァンガードですが、今日の話を踏まえて、あえてバックヤードです。これで最近工事したの!?って思いますよね。すごいです。


まだまだ、Stay Safe & Be Positive! で!

Rockもいいけど、Jazzもすごいぜ!ピース!



© Copyright 2010 d.d.d. inc. & Akihiko Shaw Ishizawa
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