SHAW BOOK

ブランド・タグラインの開発とは;「冷麺始めました」と地球防衛軍


Photo; Aoyama, Tokyo


ブランディングの中では、さまざまな用語がそれぞれの解釈で用いられることが結構あって少々面倒くさいのですが、今日はタグラインについて書いてみます。

このタグライン、コーポレート・ロゴマークや商品名の近くの目立つところに書かれているコピー(短い文章)のことです。コーポレートだとスローガン、という言い方もされますね。おそらく世界で一番有名なタグラインは NIKE の Just Do It. です、と言えば分かっていただけるでしょうか。


さて、このタグライン、NIKE のそれがまさにそうであるように、ブランドとして何を目指すのかをメッセージとして示すものですが、短い言葉に想いをギュッと込めるだけに、開発には様々な工夫がなされます。

シンプルに自分たちがやりたいことを示すのか。顧客にやさしく語りかけるのか、あるいは鼓舞するのか、約束するのか。ブランドが置かれた環境によってタグラインに持たせる役割も微妙に変わりますし、それによって語り口も変わってきます。


タグラインに限らず、あらゆるコミュケーションは「What」と「How」でできています。

What = 何を言うのか

How = どう言うのか

ですね。


この整理を一度しっかりとして、うーん…と考えて考えて考えて、ぐちゃっとなると、いいタグラインが出てきます。いや、ほんと大変なんです。手間がかかる。


まず、「何を言いたいか」ばかりにとらわれると、言葉がフラットになります。あるいは、自画自賛。例えば自社で開発した飲み物のおいしさを伝えたいばかりに、タレントさんが商品を飲んで、商品ラベルをじっと見て「くうう、うまい!」ってTVCM、ありますよね。最後に商品名なり会社名が出てこないと、どれも同じメッセージに見えてしまう。

あんな感じで、自己主張が強くなると店頭に掲げるのぼりのようになってきます。まるで「冷麺始めました」です。それでお客さんは来てくれるかもしれませんが、となりのお店の「冷麺やってます!」ののぼりに勝つのは時の運、的な感じになります。


基本的にはみなさん「いいこと」を言いたいわけです。私たちこんなにいい会社なんです!と伝えて好きになってもらいたい、身近に感じてもらいたい、頼りにしてもらいたいわけですから。その思いは当然あって然るべきなのですが、難しいのはここからです。

その思いばかりが先走ると、どうしても「いいこと」を「わかりやすく」「行儀良く」となってきます。「お客様の幸せを」とか、「笑顔をつなげる」とか、そのままいくと「地球を守る」となってしまうような。だーれも反対もしないけれど、それがどうした、という感じ…もちろん内容的に悪いことではないのですが、なんだか地球防衛軍のようで、あまりシンパシーが湧きません。魅力的では、ないですよね。


他社とは違って見せたい、インパクトが欲しい、より目立つもの、より注目してもらいたい。ありきたりにならないように、と分かってはいるつもりでも、合議制で決めようとするとどうしても「冷麺始め」たり、「地球を守った」りするタグラインが世の中に溢れてくることになります。


さて、冒頭に挙げた NIKE のJust Do It. ですが、実は開発者でもあるクリエイティブディレクターのダン・ワイデン氏がチームやクライアントに初めてこの言葉を提示した時には、みなとても懐疑的だったようです。「本当にこんな言葉いるの?」「なんか、意味わかんなくない?」みたいな感じで。面白いですよね。


今日の写真は、南青山(正真正銘、東京都港区南青山!)で、ペットのぶたちゃんを連れてお散歩中の方、です。すれ違った後に「へ!?」と二度見して、「写真撮ってもいいですか?」と許可をいただいて撮影しました。このペットチョイス、なんだか Just Do It. なスピリットを感じさせます。


さて、まだまだStay Safe & Be Positive !で、楽しい冬を迎えましょうね!

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