SHAW BOOK

Brand は誰のものか


*Photo; Rome, Italy


ブランディングの実践者や、ブランドの研究者の間でも「ブランドとは誰のものか」という課題は、度々論じられてきているテーマでもあります。


「ブランド」という概念が生まれる原始の時代。たとえば、エルメスやルイヴィトン、あるいはフェラーリなどだけが狭義のブランドと認識されていた時代においては、言うまでもなく、「ブランドはオーナーのもの」でした。つまり経営者、あるいは経営者一族、ですね。


ビジネスの成長のための「ブランド」というコンテキストが広がるにつれ、「ブランドとは顧客のものである」という考えが広がりました。特に日本において、そうした傾向は強かったようです。「お客さまは神様です」が好きな国民性が強く影響していたのだと思います。


その後、日本型の経営システムからアメリカ型へ、という流れの中で日本でも、アメリカ発の「ブランドオーナーとは株主である」という考えが広がりました。株価を経営指標の中心に据えた経営計画ゆえに、効率優先の業務仕分けが行われ、短期的に利益を生む施策に重きをおいた判断がなされるようになりました。


以前に書いたように、ブランディングは中長期的に「利益を上げ続ける仕組み」づくりであるのに対して、マーケティングは「短い期間で利益を上げる仕掛け」です。

ブランディングがなされることにより、長い目で見れば、効率的に利益率が上がる。さらに、ブランディングとマーケティングをうまく組み合わせることで、より効率的な経営が可能になるのです。


ところが上記の流れの中で、ブランディングとマーケティングが混同されてしまい、経営テーマが「顧客満足度100%!」や「株価の向上!」へと向かいます。


こうした流れは結果として、経営面においても重大なネガティブな引力をもたらします。「従業員のしらけ」です。

ドラッガーは、マネジメント論のなかで人材について以下のように語っています。

The Japanese heeded first and best my point of view that people must be viewed as your colleagues and as one of your prime resources. It is only through such respect of the workers that true productivity is achieved.

People are a resource and not just a cost.

「日本こそが、企業経営にとって人材が大切なことを私に教えてくれた」と言っています。


ブランディングのお手伝いをし続けて長くなりますが、ブランディングの観点からもこの考え方にはとても共感します。

ブランドは従業員のもの、なんです。ブランドを作っていくために商品を作り、商品を並べ、販売し、メンテナンスするのは従業員の方なんです。当たり前ですが。彼女たち、彼らの考えと行動がブランドを作ります。


だからこそ、ブランディングのステップでは、従業員の方々との意思共有が大切になります。


ただし、これは「全員の意見を聞き、合意をとる」ことではないんです。ここにこそ、ブランディング・プロジェクトの難しさとマネジメントの役割があります。彼女たち、彼らの真の想いを掬い上げ、経営の指針とベクトルを合わせることが必要になります。


よく、ブランディング・プロジェクトをやりましょう、と全員にアンケートを取ることがあります。アプローチとしては悪くないですが、まとまらないケースがほとんどです。そりゃそうです。家族でさえテレビのチャンネル争いが起こるんですから。わはは。

ここから先はブランディング・プロジェクトの進行の仕方に入りつつあり、長くなりますので、今日はこの辺で。


今日の写真はローマの美術館で撮ったステンドグラスです。作品名など詳しいことはわからないのですが、なんだか、大切なものをしっかりと守り、見つめること、を教えてくれる気がします。

厳しい時代ではありますが、Stay Safe & Be Positive ! で、未来を良くするブランドを作りましょう!

ピース!

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